【不動産OMO】これからのデジタル化社会において必要な思考法!

アフターデジタル書籍の画像

みなさん、OMOって聞いたことあるでしょうか?

星野リゾートのブランドの一つに「OMO(オモ)」Hotelsがありますが、今回はそちらの話ではございません。

こちらのホテルのコンセプトはとても魅力的で面白いのですが、その話はまたの機会にさせていただきます。

今回はOMO(オーエムオー Online Merges with Offline)について説明します。

目次

1.OMOとは?
OMO(オーエムオー) Online Merges with Offline
「ビフォアデジタル」と「アフターデジタル」
タッチポイントの変化
2.OMOの事例
NIO(ニオ)
ZiRoom(ズールー)
3.不動産業界におけるOMOとは?
不動産営業のタッチポイント
まとめ

1.OMOとは?

OMO(オーエムオー) Online Merges with Offline

こちらは、元Google中国のトップで現在Sinocation venturesという会社を持つ李開復(リ カイフ)氏が2017年9月ごろ提唱し始めた言葉になります。

この考え方は、

「すでにオンラインとオフラインは融合しているため、オンオフというチャンネルで分けた考え方ではなく、全てをオンライン起点、オンラインのビジネス原理で考える」

とアフターデジタル、アフターデジタル2の著者であるビービットの藤井保文氏は捉えていますブログでも書かれています

藤井氏は「アフターデジタル」という言葉の提唱者として、広く知られています。

デジタル起点でOMOが当たり前となっている中国企業のDXについても、現地での生の声を聞くことができておススメです。

この概念はDXが進んでいくこれからのデジタル化社会において、必要な思考法となります。

1.OMOとは? 2.OMOの事例はアフターデジタルの書籍内容から引用しているため、より深く知りたい方はぜひ書籍をお読みください。

「ビフォアデジタル」と「アフターデジタル」

これまでのリアルとデジタルの認識は、「オフラインのリアル世界が中心で、付加価値的な存在として新たなデジタル領域が広がっている」という図式でした。

この状態を「ビフォアデジタル」といいます。

しかし、モバイルやIoT、センサーが遍在し、現実世界でもオフラインがなくなるような状況になると、

「リアル世界がデジタル世界に包有される」という図式に再編成されます。

こうした現象の捉え方を「アフターデジタル」と呼んでいます。

ビフォアデジタルとアフターデジタルの説明イメージ

アフターデジタルはデジタル先進国である中国や北欧、アメリカなどで当たり前になっている社会通念のことです。

日本では、コロナ禍になったため想定よりも早く進んでいます。

  • 日用品での買い物、飲食店での注文や決済
  • Uber Eatsや出前館に代表されるフードデリバリー
  • シェア自転車やタクシーアプリなどの“移動”ツール

もともとオフライン行動だった飲食、買い物、移動みたいな生活の全てが、デジタルデータ化されます。

そのデータが個人に紐づき、あらゆる行動データが膨大に、高頻度に生まれています。

タッチポイントの変化

アフターデジタル型の接点構成は、「カスタマーサクセス理論」における接点の考え方である、ハイタッチ、ロータッチ、テックタッチと非常に親和性が高いです。

  • ハイタッチは、人が個別対応する最も密接な接点
  • ロータッチは、人が複数人を相手にする接点
  • テックタッチは、人数制限なく展開可能で、人が介在する必要のない接点

を指しています。

基本的には

「顧客をより良い状態に導くために、顧客の階層に応じて対応レベルを使い分け、顧客の成功と自社の利益とが両立する合理的なバランスをとる」としています。

それぞれの接点で、得意なものが違うということを理解しておくことが大事になります。

ハイタッチは,「感動」「信頼」を作ることができ、ロータッチはもう少し「心地よさ」「うれしさ」などを作るのが得意です。

テックタッチが、「感動」を生み出すこともありますが、得意なのは「便利」「お得」「早い」などです。

タッチポイントのイメージ図

2.OMOの事例

アフターデジタルの書籍では、「アリババ」、「テンセント」の2強に加えて、

躍進中の「平安保険グループ」などたくさんの事例を紹介いただいています。

その中からアフターデジタル2で紹介している以下の2社の事例を紹介します。

  • NIO(ニオ)
  • ZiRoom(ズールー)

・NIO(ニオ)

・NIOは、TESLA(テスラ)の競合にあたる次世代EV(電気自動車)メーカーです。

自動運転やAI(人工知能)の導入をしながら、価格はテスラの半額程度、日本円で600~700万円です。

「TESLAは鍵を渡すまでが仕事、NIOは鍵を渡してからが仕事」とNIOは言っています。

NIOには4つのサービスがあります。

  • ①NIO Power(充電関連)
  • ②NIO Service(メンテナンス・サポート)
  • ③NIO House(会員用ラウンジ・イベント)
  • ④NIO App(コミュニケーション・EC)

①NIO Powerは、電気自動車用の充電サービスです。

ステーションではなく、充電カーが来てくれて3分でフル充電可能にしてくれます。

出前アプリのように、スマホで場所指定するとそこまで来てくれます。

NIO以外の電気自動車にもサービスを提供していて、このサービス単体でマネタイズが行われています。

②NIO Serviceは、整備・修理や保険をサブスク型で提供しています。

日本円で、年間23万円程度です。

「今日は雨が降っているので、外に出たくない。だから、車のメンテナンスをNIOにお願いしたい。」ということもできます。

NIOのスタッフが家まで来てくれて、鍵を渡すとメンテナンスした状態で家まで戻してくれます。

通常、カーメーカーは「顧客接点」を持つことが非常に難しいです。

購入時点だけしか接点を持てないものですが、NIOは定常サービスによって顧客との接点を確保し、関係を築いています。

③NIO Houseは、いわゆる会員制ラウンジで、カフェスペース、図書館、ベビーシッター用のスペース、イベントスペースなど様々な特典があります。

子供を預けて、買い物に出かけることも可能です。

毎日数回のイベントを開催しており、親子で学ぶ英会話、親子で絵日記、女性向けヨガ教室、NIO幹部とのユーザー会などがあります。

④NIO Appは、SNS機能を有し、投稿に対して「いいね」や「コメント」をもらえます。

行動に対して“NIOポイント”をもらえるような設計になっており、NIO専用グッズだけでなく、それ以外の商品でも交換可能です。

NIO Houseでのイベントは、NIOの世界観に共感し、かつ600~700万円の車を購入できる生活水準の方が集まっています。

同じイベントに参加している人たち同士で、仲良くなることが多いそうです。

この際に、NIO Appのアカウントも交換し、投稿に対してのやり取りが生まれます。

イベントに参加して、さらに友達を増やすことができエンゲージメントが高まっていくわけです。

NIOが行っていることで大事なことは、“スマートEVを通じてお客さんは何を得たいと考えているか”ということです。

自動車だとMaaSみたいな話もありますが、本当にソリューションを提供したいことは別にあります。

NIOは「自分の可能性を広げられる」とユーザーに思ってもらうことを求めています。

移動は新しいライフスタイルだったり、家族が一緒に過ごすことができる新しい時間だったりします。

それを満たすために、NIO HouseとNIO Appは新たなライフスタイルを提供します。

それに加えて、不十分な電気自動車の機能をNIO PowerやNIO Serviceで補っています。

「自分の可能性を広げる」ために、モノの感情価値や仲間も提供しています。

・ZiRoom(ズールー)

・ZiRoom(ズールー)は、若者向け賃貸サービスになります。

テンセントと提携関係にある「鍵家」という不動産+仲介会社からスピンオフしたサービスです。

ズールーが提供するサービスは、大きく分けて4つあります。

  • ①賃貸物件探し
  • ②生活サービス
  • ③旅行
  • ④コミュニティー

①賃貸物件探しは、日本にもあるようなサービスです。

中国都市部では、複数人で一緒に住む「ルームシェア」は日本以上に一般的です。

その場合、誰かが責任者となり、ほかのメンバーから家賃を徴収してまとめて支払う必要があります。

ズールーでは、これを同居する全員がそれぞれ別々に支払える仕組みにしています。

また、中国の住宅事情はまだ整備されていない状況ですが、ズールーはその点の不安がないこともポイントです。

②生活サービスは、賃料に8%の管理費を上乗せすることで、定期的な清掃や家具の修理といったサービスを一定回数利用できるサービスです。

いわゆる、サービスアパートメント化です。

サービス側の視点から見ると、家を貸した後でも、顧客との接点を持ち続けられます。

③旅行には、中国国内で旅行するときに使える2種類のサービスがあります。

一つ目は、Airbnbと同様のサービスです。

ズールーの家を借りている一般ユーザーがもう一部屋借りてデコレーションし、ほかのズールーユーザーに宿を提供するサービスです。

こちらはかなりデザインにこだわっている部屋が多く、値段はそれなりです。

二つ目は、ズールーアパートとも言うべきサービスです。

ズールーが自社で抱えるマンションの空き部屋を、安い宿として提供するサービスです。

ホステルのような場所を構えている場合、1泊1,000円以下で宿泊することも可能です。

ズールーのユーザーであれば、中国国内を旅行する際、このような部屋に宿泊することができます。

④コミュニティとは、マンションの中などのイベントサービスです。

ズールーが自社で抱えるマンションは、イベントスペースが付いているものがあり、ズールーユーザーはそのスペースを借りてイベントが開催できます。

または、ズールー自らが料理教室や音楽・ダンスなどのイベントを開くこともあります。

そうしたイベントは、アプリでの通知だけではなく、一定距離内に住むユーザーとのチャットグループで告知されます。

いわゆる「住居・賃貸」のビジネスドメインに限定せず、「より便利で楽しい住空間」と捉えることで、地域での交流や旅行時の住まいまで提供しています。

そうすることで提供価値を広げ、ユーザーとの接点をより高頻度に長期に転換できたのです。

NIOもズールーもどちらも、いずれも商品に関わるペインポイントを解決するだけではございません。

ユーザーにより良い生活スタイルを提案する形で、定常的に顧客との接点を持てる「体験提供型」のサービスに変化させています。

これにより、商品販売型では提供できなかった顧客との新たな関係を作り出し、これを新たな優位性としながら、いつでも顧客の状態を知ることができています。

「売ること」「成約させること」にフォーカスするのではなく、顧客にずっと寄り添うことを重視しています。

それによって他社を圧倒し、人が人を連れてくるというモデルが、多方面に成立し始めているのです。

3.不動産業界におけるOMOとは?

不動産営業のタッチポイント

コロナ禍において、賃貸仲介会社の営業プロセスに変化がありました。

お店への来店、接客、内見、申込み、契約までの営業プロセスは、ツールの導入具合もありますがほぼ全てが非対面で完結できるようになりました。

スマートロックを使用していなければ、成約後の鍵の受け渡しくらいが唯一のタッチポイントになり得ます。

IT重説もインターネットを介して、オンラインで実施できます。

コロナ禍の中、自宅にいるお客さまに対して店舗にいるスタッフはオンライン接客で対応することも多かったと聞きます。

そのような状況から、従来とは異なる成約までのパターンが生まれています。

オンライン内見とオンライン接客を繰り返すお客さまがいたり、内見だけはリアルで行いたいというお客様がいたりします。

いくつかの物件の3Dパノラマビューを見て、コレだと決めた1件だけリアル内見して現地案内するケースも。

内見後は現地解散して、そのあとオンラインで申込みを行います。

このような顧客対応が、インターネットやクラウドなどのIT分野の進化で実現できるようになりました。

資金力のある大手の不動産会社だけが行っていることではありません。

中小規模の不動産会社でも行っている事例は増えています。

賃貸仲介会社の営業プロセス

コロナ禍になったからこそ、既存のオンラインツールやクラウドツールが一気に注目されるようになりました。

私もアメリカから導入された5年前より使っているzoomが、普通に使われるようになりました。(以前に勤めていた会社では未だにAmazonでも上位表示されるzoom解説本を出版しています。宣伝ではありませんw)

VR内見用のツールとして、既存であったリコーさんのTHETA 360.biz、東京ディフェンスさんのMATTERPORTもかなり利用企業が増えたと聞きます。

他にもツールを挙げれば、キリがありません。

これは世の中が常にインターネットにつながっているから、実現可能になりました。

デジタル技術は元々ありましたが、リアルの接客や内見をしなくてもスマホで完結できることに気付いたことが最も大きいです。

インターネット環境とスマホが普及した現在の状況が、OMOを語るうえで欠かせません。

この2つがあるおかげで、緊急に迫られた非対面業務が可能になりました。

不動産会社で働く方々の中にも、「テレワークをせざるを得なかった」というケースもあったのではないでしょうか?

在宅で、インターネット環境とパソコンがあれば、働けたはずです。

さて、

このオンラインでの接客プロセスの一つ一つ、

  • zoomを使ったオンライン接客
  • オンライン接客時のIT重説実施
  • オンラインでの内見案内
  • Web申込み
  • 電子契約

「オンラインの中で、今おこなっている」と感じますか?

今となってはこれらのプロセスを行うとき、オンラインかどうかは意識しないものです。

逆に言うと、「お客さまにとって重要なことは、自分にとって都合がよいかどうか」だけになります。

オンラインか、リアル(オフライン)かは正直どうでもいいのです。

彼女とデートする際は、お洒落なレストランに行きます。

外出していて喉が乾いたら、コンビニや自動販売機で飲みモノを購入します。

お客さまは、すぐにでも内見をしたいと思ったらチャットよりも電話をしてきます。

早急でなくてもよい内見予約は、メールやチャットを使います。

会社からも近い物件だったら、リアルの内見を選択する場合も。

自身がいる状況に応じて、自分に都合がよい方法を選んでいるだけです。

それがオンラインなのかリアルなのかは今や関係なくなりました。

この状態が実現できていることが重要です。

不動産業界におけるOMOの重要なポイントは、「企業」目線から「顧客」目線に切り替えることです。

接客、内見、申込み、契約がオンラインかどうかはお客さまにとってはどうでもいいのです。

今の不動産の営業プロセスは、お客さまが選ぶ選択肢が豊富にあります。

OMO思考で考えるなら、その選択肢は物件の成約だけで完結しません。

物件の管理もしているなら、掲示板に貼りだしていた内容をSNS通知でお知らせしたり。

顧客の目線に立ち、顧客と新しいタッチポイントを作ろうと、試行錯誤する思考方法がOMOになります。

リアルとデジタルを分けて捉えず、一体として捉える必要があります。

ゴールは成約や販売ではありません。

これは企業目線のゴールです。

顧客目線のゴールとは何でしょうか?

「新しい環境で生活をはじめる」?

「自分の可能性を広げる」?

中国の事例ではないですが、お客さまは自分のゴールを叶えてくれる不動産会社のファンになります。

「次の引っ越しも、同じこの不動産会社で」

「売買もしているなら、こちらにお願いしよう」

特定の不動産会社を利用し続けよう、という気持ちが生まれます。

一度だけの引越しではなく、その顧客が生涯にわたって2度目の引越し、家の購入、資産活用、税金対策の相談までサポートすることができます。

これが不動産業界に置きかえた時の、OMOの一つのゴールになるのではないでしょうか?(ほかのゴールも当然ありえます)

たとえば、

事例で示した「ズールー」が、そのまま日本の社会に入り込んできたとします。

(実際は日本の社会情勢もあり、難しいと思いますが…)

あるマンションの9階の一部屋を借りたとします。

そこに、「半年後の○○日間、EVの入替工事が入ります」とSNS通知が来ます。

そうすると、いかがでしょう?

私だったら階段の上り下りが嫌なので、その期間早速有給休暇を取って、宿泊できる部屋を予約し旅行の計画を立てます。

早くから通知が来たため旅行の計画もゆっくりと練ることができ、この不動産会社のファンになります。

また別の通知では「1万円から始められる、不動産投資クラウドファンディングを開始しました。」と、ちょうど少額投資をはじめたいと考えていたので検討してみます。

などが、考えられます。

OMO思考で提供する不動産サービスの一例

DXが進む中、リアルとオンライン(デジタル)の境界をなくして、よりより体験を提供することが求められています。

顧客にとっては、サービスがリアルなのかデジタルなのかは本当にどうでもいいのです。

顧客が求めているのは、自分らしく、その時の自分の状況に合ったサービスを使いたいだけです。

これはOMO思考になります。

このような発想でサービスを提供し続けられる不動産会社が、顧客から選ばれる時代です。

一度の取引だけではなく、その顧客の生涯にわたって不動産サービスを提供していくことになります。

「自分の可能性を広げたい」「新しい環境でこんな生活をはじめたい」と願う顧客の願いを叶えることで、より信頼関係を築いていけます。

まとめ

  • OMO(オーエムオー) Online Merges with Offline 「すでにオンラインとオフラインは融合しているため、オンオフというチャンネルで分けた考えではなく、全てをオンライン起点、オンラインのビジネスの原理で考える」必要があります。
  • OMO思考をベースに顧客との接点、タッチポイントを理解しなければなりません。ハイタッチ、ロータッチ、テックタッチのそれぞれ得意なものが異なることを理解することが大事です。
  • 顧客の状況に応じたサービスを提供することで、顧客から選ばれ続ける必要があります。入居者はもちろん、これから入居を検討される方すべてが対象となります。「企業」目線ではなく、「顧客」目線が必要です。