不動産テック(不動産×IT)とIT導入補助金とは その1

不動産テックとIT導入補助金とはその1

他業界と比較してIT化が遅れていると言われてきた不動産業界です。

そんな中で、テクノロジーを利用して業界課題や習慣を変えようとする「不動産テック」という考え方が登場、

注目されるようになりました。

 

今回は、不動産テックのメリット・デメリットと、

導入するにあたり活用できるIT導入補助金について、2回にわたり解説していきます。

 

 

■不動産テックとは

不動産テックとは、不動産とテクノロジーを掛け合わせた造語で、

IT技術によって不動産分野における従来の習慣や課題を変革することです。

金融×ITがFinTechと呼ばれるよう、

不動産テックはRealEstete(不動産)からReTech、Property(資産)からPropTechなどとも呼ばれます。

日本でも、ここ数年で急速にサービス展開が進んでいます。

 

不動産テックが目指すものとしては、

大きく分けると業務の効率化顧客利便性の向上不動産の価値向上の3つです。

 

 

 

■不動産テック協会

このような不動産テックの流れを受けて、2018年7月に「一般社団法人 不動産テック協会」が設立されました。

設立の目的として、

「不動産とテクノロジーの融合を促進し、不動産に係る事業並びに不動産業の健全な発展を図り、

国民経済と国民生活の向上並びに公共の福祉の増進に寄与することを目的とし、その目的に資するため、次の事業を行う。

・不動産テック(不動産×IT)業務に関する調査研究及び情報発信

・不動産テック(不動産×IT)業務の標準化及びルールの確立

・不動産テック(不動産×IT)従事者等の育成・指導

・ビジネス機会創出のための各種活動

・国内外の関連諸団体等との情報交換や連携・協力のための活動とイベント開催

・国及び地方故郷団体等に対する協力並びに建議及び要望

・前各号に掲げる事業に附帯または関連する事業」

として記載がありました。

この協会は、不動産業者とテクノロジー業者をつなげる架け橋のような立ち位置を目指しているようです。

詳細を知りたい方はこちら

 

以下のマップは、「一般社団法人 不動産テック協会」が発行している「不動産 カオスマップ」になります。

不動産Tech業界のプレイヤー(企業、プロダクト)やカテゴリー、関係性を表した業界地図です。

こちらでは、全12の領域に分類することができます。

その中で、管理業務支援や仲介業務支援、物件情報管理、顧客マッチング、IoTなどのツールが増加しています。

2018年発足時に比べて、参加企業も倍以上に増えています。

 

一般社団法人不動産テック協会作成 不動産テック カオスマップ

 

■不動産テックのメリット・デメリット

不動産テックは、不動産業者にも不動産業界にも変革をもたらします。

不動産テックの導入によって、どのようなメリットが得られるのか、デメリットや注意点とあわせて確認しておきましょう。

 

  • メリット

不動産テックの大きなメリットは、導入により業務の自動化や効率化を実現することができます。

それによって、人的リソースを本来するべきである顧客対応に割くことができることにあります。

スタッフの働き方改革にも効果的です。

 

多くの時間を割いていた各ポータルサイトへの物件情報登録や広告の反響管理、マッチングなどは不動産テックの代表的な活用事例です。

そのほかにもIoTを活用した物件管理の自動化なども可能になります。

 

また、不動産テックにより消費者の利便性も高まります。

2017年より認められるようになったIT重説により、

消費者がわざわざ重要事項説明を受けるために、不動産会社に足を運ぶ必要がなくなりました。

さらに近年ではVRを利用して、自宅にいながら物件の内覧ができるサービスも登場しています。

特にコロナウイルスの感染拡大により非接触が求められるようになった今、VRは強力な営業ツールとなりました。

 

物件の情報取得についても利便性が高まります。

現状、従来のシステムでは物件の情報はリアルタイムとは言い難いものです。

不動産テックを活用し、リアルタイムなデータが入手できるサービスも一部では開始されています。

 

そして、不動産業界にとってメリットとなるのが、情報の透明化です。

不動産テックの浸透により、これまでレインズのように不動産業者間のみで利用できた情報が一般にも共有がなされるようになります。

また、AIを活用した査定やマッチングも利用できるようになり、これまで表に出てこなかったニーズが明らかになります。

それによって不動産取引が活発化するだろうというのが、業界の見方です。

 

その結果、「スペースシェアリング」「クラウドファンディング」などの不動産テックを活用した新しいサービスも誕生しています。

 

不動産業界は人口の減少により、将来的には競争が激化し、現在のような人手を頼りにした経営は難しいと予測されています。

そのような状況だからこそ、不動産テックによる効率化や変革が求められているのです。

 

  • デメリットと注意点

一方、不動産テックのデメリットとして挙げられるのは、導入するにあたって一定の費用がかかること、活用できるIT人材が不足していることです。

そのため、これまでは不動産テックを導入しているのは大企業が中心で、中小規模の不動産会社ではなかなか手が出ず、普及はさほど進んでいませんでした。

 

しかし、不動産テックの市場はここ数年で拡大しています。

低価格なクラウド型や機能特化型のサービスも登場するようになりました。

そのため、比較的小規模な不動産会社でも、自社の状況に合わせたサービスを選ぶことができる環境が整いつつあります。

また、「IT導入補助金」を利用すれば、導入コストは大幅に削減することができます。

小規模の会社でも、将来を見据えて検討すべき段階に来ているでしょう。

 

ただし、不動産テックでは電子契約も活用することになりますが、

不動産分野には現時点では法律の規制により、電子化が行えない契約も多数あります。

また、不動産情報基盤の整備についても、諸外国のようには進んでいません。

次第に状況は変化していくと考えられますが、現時点では不動産テックは万能ではないという点に注意が必要です。

 

まとめ

不動産テックにはさまざまな領域がありますが、一部でも自動化できる部分があれば大きく業務効率の改善が可能でしょう。

特に、物件情報の入力は時間のかかるルーティンワークですので、これが自動化されるだけでも残業が減らせるのではと思います。

効率アップのみならず、働き方改革という面でもメリットがありそうです。